ゆるの記録たち

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韓国留学6ヶ月経って今の気持ち



 

金がない。

 

最近の私の頭の中を占めているのは、もっぱらこの言葉である。

 

ペディンという名前の、競技場でサッカー選手に怒号を浴びせる監督たちが着ているあの分厚いダウンコートが必須であった季節に韓国へ来たのが信じられないくらいに6ヶ月という時間はあっ!という間に過ぎ去った。

最近の韓国はというと、部屋には生乾きの洗濯物の匂いが充満して、外に出るとひやっとした空気の中に湿りけを含んだような暑いんだか寒いんだかよくわからない日々が続いている。

 

梅雨がもう目の前に迫っている。

 

 

韓国へ渡航する準備をしていた頃には夢と希望を持ってキラキラとした渡航日になるだろうと想像していたが、現実は不安に苛まれて前日は一睡も出来ずに吐きそうになっていた入国日。

その日、私は仁川空港にて入国手続きをする際に、この世の意地悪を集結したような感じの悪い職員に運悪く当たってしまった。腹が立ったので何か言い返したかったのだが韓国語が未熟でそれが出来ず、私は苦し紛れに怒りを込めてペンを机に投げつけた。幼稚だが、その時の私はその意地悪な職員を前にボディランゲージという表現方法しか持ち合わせていなかった。

その時と比べると確かに韓国語の能力は上がり、韓国人が私の為に気を遣って簡単な言葉を使いながら喋ってくれる程度の日常会話ならなんとか適応できるようになった。

 

 

だが、私は常に飢えている。まだまだまだまだ足りないのだ。

スーパーでの「ポイント積み立てますか?」は聞き取れるようになっても、住民センター(ちょっとした役場みたいなもの)にてコロナの生活支援金の手続きをした際には職員の言っている言葉が「#/!_&#⭐︎.\」と聞こえて何を言っているのか理解出来ず、それこそ漫画の陰気なサブキャラがするような「へへっ」という嘘じみた乾いた言葉と共に苦し紛れに不細工な苦笑いをしてみせた。

また別の日にはデパートで、3歳かそこらの小さい子達がシールを貼って遊ぶ絵本を見ながら何か言い合ってる隣で目を瞑りながら、一心にその楽しそうな会話に神経を研ぎ澄ませて必死にリスニングしたこともあったが、それも聞き取れず仕舞いでこんなに小さい子が話している言葉も聞き取りが難しいのか、と絶望感に苛まれた。

もちろん、その子達の方が私より2年半も韓国で長く生活している偉大な先輩なのだから、変に対抗心を燃やす必要はない。だがそれでも、悔しいのだ。。

 

 

ただ語学堂の勉強の方はというと実は比較的順調に進んでいて、だからこそ、学校の勉強と言語能力は決して同等ではないという現実に打ちのめされる。否、そんな事わかっていた。

 

頭では。

 

半年韓国に住んだからといって、ただそれだけでネイティブかのようにペラペラに喋れるわけではない。YouTubeやブログや本で飽きるほど見てきたその言葉も、実際に事故に遭わないとわからない無茶苦茶な運転をする自転車に乗った高校生のように、その現実に直面して体験するまでは気づかないのだ。そう、そういう意味では留学に来て本当に良かったと思う。

留学というキラキラした夢を抱えて日本でじっとしてるだけではこういう現実への気づきも自分に落とし込めなかったはずだから。

(高校生の時に無茶な運転をしていたのは私ですが、幸い事故には遭わず車の免許を取得して自転車の乗り方に気をつけるようになりました。)

 

 

最近はそんな気持ちを紛らわすかのように、とにかく外へ出て友達と遊び酒を飲んでは乾杯の様子をインスタストーリーにあげる事に必死になり、とにかく「一度しかない留学生活を楽しもうよ〜!!」という、マインドで生きてきた。

 

 

 

ここで話は冒頭に戻る。

 

金がない。

 

 

コシウォンに住みながら、白米とキムチという最高にうまいが質素な食事を三食こなすという節約を持ってしても、留学生活というのは思いの外に金を使う。話はぶり返すが人間は、頭ではわかっていても直面するまでは気づかない生き物なのだ。

まだ酒が体に残った状態で二日酔いの気持ち悪さを抱えながら、朝目覚めた時最初に脳裏に浮かぶのが「金がない」というワードなのだから、そろそろ現実と向き合わなければいけないと、私の本能が必死に叫んでいる。必死に酒で誤魔化している場合ではないのだ。

 

 

この問題に対する解決方法は一つしかない。いや、他にもあったら教えて欲しいのだが、私のちっぽけな頭では一つしか浮かんでこない。

そう「労働」である。

この6ヶ月間ただ勉強と遊びを繰り返す夢のような日々を過ごしてきたと、振り返ればキラキラした思い出達に涙が出るが、私はそろそろ現実と向き合わなければならない。

 

 

610日。私が韓国へ入国して6ヶ月が経過する日。この日から、私は韓国でアルバイトをする権利を得る。

コネスト(有名な韓国情報サイト)の求人掲示板をスクロールしていると、自分の韓国語能力の低さと金がないことに対する不安に打ちのめされそうになるが、悲観してばかりもいられない。

先日、ふと目にとまった求人に心惹かれその求人先へ応募の連絡をしてみた。返信はまだない。この後の事はまだわからない。どうなるかわからない。杞憂してても何も始まらない。今にも吐きそうな不安を抱えて行動に踏み出すしかない。(金がないから)

 

 

これから初めて韓国で迎える夏はきっとじめじめしててそんなもわっとした湿気の中、不快指数は100%超えで語学堂への登校ダリィなぁ〜なんて思ったり、金ねえなぁ〜って狭いコシウォンでコネストをスクロールしたり、韓国語の出来なさに打ちのめされる日々を繰り返すんだろう。こうした日々のごちゃごちゃした出来事に悩む事も増えるんだろうが、これだけは決してブレてないと自信を持って言えることがひとつだけある。

 

 

私はこの留学を後悔した事は一度もない。

 

 

だから、悩んでる人がいたらしてみればいいと思う。留学。人間って体験してみないと実感できないものだから。

 

金がないない、という悩みを抱えながら暮らすことさえも今しか味わえない醍醐味なのではないだろうか、と錯覚するくらいやはり留学という体験は特別なものだ。

 

 

じめっとした夏と瞬時に過ぎ去る秋を越えて、タンスの奥から再びペディンを引っ張り出す頃、私はどこで何をしてるか全然予想もつかないけれど、その頃には今度こそ仁川空港のあの職員に咄嗟に言い返せるくらいの韓国語を身につけていたいのが正直な所である。さらには住民センターで順番を待つ際に何を言われるのかドキドキする事なく余裕を持ってドンと椅子に座ってたいし、デパートで子供たちが遊んでいるのを横目に微笑んで居たい。

 

 

6ヶ月後の私に乞うご期待。